節々にある温もりに気づくから。

「お店の予約もありがとう。これで集まろう。向こうにも伝えておきます。それでは当日よろしくね!」

「何から何までお手間かけます。ありがとうございます。」

「こういうこともあるんだから。どこでなにが起こるかわからないからね。人間関係とか、きっかけとか、そういうものは本当に大切にするんだよ。それじゃあ当日。」


叔父の同僚のワダさんとそんな連絡を取りあったのは昨夜。

一度しか顔を合わせていないのに、ほぼ見ず知らず自分たちなのに、なんでここまで良くしてくれるのだろう。飲み会を開いてくれるから、とかそんなのではなく、純粋にそんな人想いなワダさんとの不思議な出会いに感謝して。「お礼の品、何だったら喜んでくれるかなぁ。」なんて思いを巡らせていた今日一日。


仕事が終わり、家に着く。と、叔父からの電話。「冷やかしの電話かな〜。」と思ったんだけれど。

「土曜の予定は決まったのか?ワダさんが昨日倒れて。集中治療室に運ばれたらしい。お互いを紹介するって張り切っていたけど、完全に無理だろう。」と。

…えっ。
一瞬信じられなかった。なんでよりによってあの人が。しかも、昨日はあんなに元気そうに話してたのに。


ワダさんのことと共に飲み会当日のことを心配する叔父。「ワダさんは行けないけど、当日は楽しんでこいよ!」と。こんなときに飲んでる場合じゃないな、とも思ったんだけれど。中止するにも相手の連絡先も知らない。かといって、連絡が相手方に伝わっているのかも分からない。どちらにしても、連絡の取りようが無い。

悩むけれど、ワダさんの昨日言っていた言葉が頭に浮かぶ。とりあえず、行ってみようか。気持ちは複雑だけれど。


頭の整理がつかない。良い意味でも、悪い意味でも、一寸先って何が起こるかわからない。
とにかく今は無事を祈るしかない。心配だな…。

どうか、無事に。